こんにちは、眼鏡士ローシーです!
皆さん!形状記憶フレームってご存知ですか?
強い衝撃が加わってもメガネの形がくずれない、弾力性があって壊れにくい!
などというイメージでとらえている人がほとんどだと思います。
今回は、形状記憶フレームをあまりおススメしない理由を1級眼鏡製作技能士の私ローシーが簡単に説明いたします!
②形状記憶フレームの種類
③形状記憶フレームの特徴
形状記憶フレームをおススメしない理由①
形状記憶フレームと聞くと型くずれしないなど、壊れにくく丈夫でグニャグニャ曲がるメガネというイメージの人は多いようです。
確かに、グニャグニャ曲げても元に戻って便利という見方もあります。
しかし、どんな状況でそんなにグニャグニャな状態になるのでしょうか?
メガネを掛けていて、そんなにグニャグニャになった事がありますか?
店員さんは、いかにも凄いフレームのようにツル(テンプル)の部分や鼻あての結合部分(ブリッジ)などを曲げて見せて柔らかい弾力性をアピールしてきます。
そのまま「凄い、欲しい!」となり、あっさり購入を決める人も多いです。
しかし私はお勧めしません。
デメリットが多くメリットが少ないと感じているからです。
形状記憶フレームの種類
形状記憶フレームには主に2つの種類があります。
②ゴムメタル
形状記憶フレームの特徴
①超弾性合金
超弾性合金の特徴は弾力性はあるが重くてさびやすい。
また寒いところなど温度差があると弾力性が弱くなります。
超弾性合金を曲げて戻して、とメガネ店スタッフさんに実演されて買う人が多いですが、実は曲げたり戻したりしていると目に見えないくらいの亀裂がメッキに入ります。
新しいうちはそれほど問題ないのです。しかし、その目に見えない亀裂に汗などが入るとサビる原因になります。
メッキが肌に付着して金属アレルギーを起こす人もいます。
そもそもメガネという商品をそんなに曲げてみせる必要性がないのです。
メガネを掛けていて180度近く曲げる事ってありますか?
普通の使用方法でそんなことをするなんてあり得ませんね(^^;
しかし曲げて見せられると「良いもの」に見えてしまうのです。
形状記憶フレームは高負荷に対して形状を維持しようとするのが特徴です。しかしメガネを使用する過程でそんなに曲がる能力は必要ないと感じます。
フィッティングの事を考えてブリッジやテンプルに使用される事が多いのですが、形状記憶フレームには、かなりフィッティングがしにくい商品が多いです。
先セル部分(モダン部分)が思うように曲がりません。1級眼鏡作製技能士が困るレベルです。
無資格者がフィッティングを行っている店舗の場合、フィッティングは大丈夫?と疑問ですね(^^;
②ゴムメタル
チタンベースの形状記憶フレームです。
ゴムのような弾力性と高強度をあわせもつ金属になります。
タンタルやジリコニウムなど人体に影響が少ない金属とチタンの組み合わせです。
金属アレルギーも起こりにくい商品です。
ゴムメタルは寒く温度差が大きい場合でも弾力性が保てる上位素材です。
しかしこれも超弾性合金と同じくフィッティングはかなり厄介です。
メガネの指導者レベルの人がフィッティングをしても苦戦します。
ましてや新人スタッフがフィッティングした場合、なかなか厳しい仕上がりになる事が多い商品です。
形状記憶フレームをおススメしない理由②
素材の弾力性にあまんじてメッキ自体を弱くしてしまうだけでなく、メガネの命とも言われているフィッティングが非常にやりにくい商品だからおススメではないです。
しかも、もとに戻るという性質があるのに微妙に戻らなかった場合、メガネは傾いたままお顔に装用する事になります。
記憶された形にもどるので非常にフィッティングなど重要な作業が難しいので、個人的な感想ではお勧めいたしません。
最終的にお客様からのクレームにつながります。
まとめ
形状記憶フレームには大きく分けて2種類あります。
超弾性合金とゴムメタルです。
どちらも弾力があり、記憶された形状にもどるためフィッティングがしにくい商品です。
フィッティングはメガネの命とも言われる作業です。
フィッティングがイイ加減であれば度数も悪く感じます。
そもそもフィッティングという作業は左右対称に作られたメガネをお客様のお顔に合わせて崩していく作業でもあります。
ツルの部分(テンプル)が曲がるほどの衝撃を受けるようなメガネの使い方をしなければ形状記憶である意味はありません。
酔っぱらってメガネを踏みつけた、または学生でお友達とケンカをしたなど普通はない事があった時のみ形状記憶フレームの機能は役に立ちます。
しかし踏みつけたメガネが後どれくらい使用できるのか、また完全に元に戻っていない状態でどれくらいの期間、使用するのかを考えるとあまりおススメできないフレームの1つになります。
おススメはフィッティングがしやすいフレームです。またはフィッティングが可能なフレームがお勧めです。
特に遠近両用メガネを作る時は、フィッティングがしやすいフレームを選ぶ事をおススメいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。